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かまくらやなまはげといった風物が織り込まれているってだけじゃなく、その扱いに詩情がある。落とし穴に落ちて雪を投げる子どもたちのシルエット、なまはげがくつろいで面を取ったのを盗み見て「インチキ」と呟くところなど、その扱いに懐かしさを含んだ詩情がある。仔を思う母馬が朝焼けのなかを駆け回る、高峰が病気の馬のために青草を探しに行く、弟を馬に乗って見送る、など、ここらへんのストーリーは常套的と言えば常套的なんだけど、それが繰り返し語られてきた物語を聞いているような、まるで時がたてばそのまま民話になってしまうようなファンタジーになっている。カメラが人物に近寄らないのも、民話の不特定の人物らしくなっている。顔のアップはラストの泣き顔だけだったんじゃないか。馬が仔を生んだときの家族のソワソワが一番いいシーン。小さな家族が一つの心配事を中心に寄り添っている光景のいとおしさ。詩情豊かではあるが、底には農家の貧困があり、馬を家族と見れば「離散もの」と言えるだろう。そして常に日本の少女は明るく健康でけなげなのであった。
【なんのかんの】さん [映画館(邦画)] 8点(2012-05-04 15:38:17)
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