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幸吉君にとってはすべてが「ひとごと」なの。ミヤコ蝶々に「変な関係だんな」って言われた後に「そうやろなあ」と感想を呟く。何事も主体的に選ばず、ずるずると生きてる。息子の死のときだけ、人生の現場に引きずり出されてしまった。そういう男だから、大工の棟梁みたいな職人気質の世界の人物の世界から見ると、軽蔑される。でも女には(ミヤコ蝶々を含め)けっこうかわいがられる。そういう上方の伝統的な男。おはんという女は、けっきょくよく分からないんだけど、おそらくもっと野暮ったい感じなんじゃないのか、それを吉永小百合がやるとこに面白味があったのかも知れない。駅での不気味な微笑の一瞬のために彼女を起用したのかも。どうしようもなく愚図な女が、その愚図に徹することで輝き出してくる、そういう話と思った。おかよのほうは分かりやすい。こちらも上方の伝統に則った勝気な女。おはんの再登場シーンの細かいカットの連続、幸吉の意識にハッハッと入ってくるよう。
【なんのかんの】さん [映画館(邦画)] 7点(2013-08-10 09:28:58)
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