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苛酷で本質的なものと、柔らかいが欺瞞的なもの、の対比が軸になっているか。島の岩肌、サソリの生態、など苛酷。ブルジョワの家具調度の柔らかさや、彼の好きな羽毛が対比される。いや、こうやって整理して見てしまうのは、きっとシュールリアリストにとっては、馴れ合ったイメージの連想ということで、いけないんだろうが、もうそう見ちゃうのが習性になってるマトモな世界の住人なんで、勘弁してもらう。一番濃密なのは島に人が来たところ。だいたい人が並んで歩いてるとリアリズムを突き抜けちゃう気分が出てくるんだ。骸骨になった法皇なんて、すごく「意味」っぽいんだけど、帽子をとって挨拶すると、何か意味を超えたイメージになっていく。固いコンクリートの上にヌルヌルした粘土状のものを載せるの。なんかの起工式みたいな普通の儀式なのかもしれないが、ヌルヌルの触感だけが突出して迫ってくる。男は羽毛を散らし、窓から燃える木やキリンを落とす(脚本にダリが協力)。虫を潰し、犬を蹴り、盲人を倒し(盲人を痛めつけるのは『忘れられた人々』などがあり、彼の作品での盲人は特別な存在のよう)、しかし己れの所有欲からは逃げられない。あ、また意味で解釈しようとしてる。小太鼓の連打が異様な高揚を生む。ベッドに牛が寝てたり、ロビーを荷車が通ったりするのも心地よい。水中撮影で美しいシーンがあった覚えがあるのだが、ノートには記されてないな。ほかの映画の記憶が混ざってるのか。そういった曖昧な記憶として存在しているのが、一番ふさわしい映画なのかもしれない。
【なんのかんの】さん [映画館(字幕)] 8点(2013-03-23 10:01:07)
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