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推理小説の映画化は、どうしても言葉に頼る部分が多くなり成功しづらいのだが、崑さんはそれを逆手にとって会話の場面で面白がらせる。前作『吾輩は猫である』がそうだった。いわばサロンの仲間うちの会話で成り立っているような原作から、会話のリズムと画面を顔で埋める映像で楽しめる映画にしてしまった。その延長にこの金田一シリーズが出来たのだろう。解決篇の部分が推理ものにとっては鬼門で、どうしても説明になってしまう。そこが本シリーズでは面白い。事件のフラッシュバックを挿入する勘どころ、言い募りあう人物を時間を少しずつずらして短いカットでつないでいく緊迫、顔の部分アップを折り込んだり、コラージュを楽しんで作っている。そして崑の終生のモチーフである女のドラマにもなっていた。本シリーズは『男はつらいよ』とは別のスタイルで、当時の大女優名鑑になった。シリーズを通しての脇役チームとなる俳優たちの顔を見るのも楽しく(本シリーズの坂口良子は忘れがたい)、それにしてもつい最近の映画と思っていたのにずいぶん多くの役者が故人になってしまっているものだ。
【なんのかんの】さん [CS・衛星(邦画)] 8点(2013-11-17 09:34:15)
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