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麦の穂をゆらす風 のクチコミ・感想
作品情報
タイトル名 麦の穂をゆらす風
製作国アイルランド,英,独,伊,スペイン,仏
上映時間126分
劇場公開日 2006-11-18
ジャンルドラマ,戦争もの
レビュー情報
《ネタバレ》 最初のうちは、明確な敵に対決していく何の迷いもない義勇軍の時代。訓練もどこか戦争ごっこのようなのどかさを伴う。しかしそのかつて訓練をしていた緑の野で仲間を処刑してから、ドラマは陰惨さを帯びてくる。ああローチの世界に入っていくな、と思う。敵の輪郭が崩れ、仲間の輪郭と溶け合い出す。やがて協定への妥協派と否定派への分裂、義勇軍は正規軍と反乱軍として対決する。これはアイルランドの特殊な物語ではなく、歴史上どこにでも見られた悲劇。ローチ監督自身すでに「大地と自由」でスペイン内戦を舞台に描いたテーマだ。何度描いても色あせぬテーマであることが哀しい。国家の哀しみ、民族の哀しみ、名前を知っているもの同士が殺し合う哀しみ、抵抗のための組織が組織のために弾圧を始めてしまう哀しみ。この映画では反復が効果を挙げている。冒頭のイギリス軍に銃で脅される場面が、終盤ではアイルランド正規軍によって反復される。密告を勧める場面も反復される。立場を変えて反復されることのやりきれなさが、この映画を底で支えている怒りだ。でもいったい何に対して怒ればいいんだろう。
なんのかんのさん [DVD(字幕)] 8点(2007-09-09 12:46:43)(良:3票)
その他情報
作品のレビュー数 41件
作品の平均点 6.46点
作品の点数分布
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作品の標準偏差 1.38
このレビューの偏差値 58.06
※この作品のどの当たりの点数に位置するかを表した値
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