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《ネタバレ》 不満を先に言っとく。自分は傷つかぬ“天井桟敷”から世間を冷笑している人間のおぞましさをジュディ・デンチが完璧に造形したのに、レズビアンを絡めたことで彼女の孤独が特殊なものになってしまい、話を狭めてしまった。ラストの方では次の獲物をあさるサイコホラーのモンスター扱いで、これでは観客の方が安全な天井桟敷からバケモンを見物してる映画になってしまう。彼女の孤独は、誰もが共有しかねないもっと危険なものだったはず。そこらへんでこの映画、名作にはなりそこねたが、でもジュディ・デンチの演技の凄みだけに絞れば圧倒的だ。辛辣の限りを尽くすモノローグは、嫌な人だなあ、と思いつつ聞きほれてしまう。猫の死で狂乱しケイト・ブランシェットにすがるあたりの切迫と、夜ひそやかに日記に金星を貼り付けている不気味さとの対照。もう孤独が体の中心で芯のように固まっている人間なのに、それでも他人へつながりたいと思っている哀切が、あのいかめしい顔の中に埋め込まれていた。
【なんのかんの】さん [DVD(字幕)] 7点(2008-04-02 12:17:55)
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