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《ネタバレ》 東風が人を狂わす、と最初にことわりを入れたことで、全体に古典喜劇のような柔らかなトーンがかかった。かなり悲惨な事件を扱いながら、刺々しくならない。姉と妹が、それぞれ“死人”について隠し事をしながら探り合うあたりのおかしみなど、こういう素直な映画も撮れる人だったのか、と見直した。いつもはそれがかえって落ち着かなくさせる暖色系に埋め尽くされる世界も、今回はそのまま暖かさととっていいような気になる。それにしてもアルモドバルに出てくる男はしょうがないな。ペネロペ・クルスの亭主にしろ、登場はしないが父親にしろ、女たちの世界の邪魔ものでしかない。祖母から孫までの三代の女、近所のかみさん連中も含めての女たちの世界の闊達な連帯の前で、邪魔ものの男どもは、桃太郎で退治される鬼の役割程度の存在。朗々と歌われる女性賛歌を、男は黙って聞くしかない映画だ。母親はお墓で眠ってなんかいない、千の風になんかなってない、風は人を狂わせ、母親はベッドの下に隠れて目玉をぎょろつかせてる。
【なんのかんの】さん [DVD(字幕)] 7点(2008-03-27 12:16:52)(良:2票)
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