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《ネタバレ》 この設定を、コメディのルールとして受け入れられるか否かが分かれ目でしょうな。いつものように“とりあえずの処置でしのぎつつ騙し通そうとする”話だが、かなり無理があります。しかし私は楽しむために受け入れた。途中で何度も「ちょっとこれは…」と挫けそうになったが、そのたびに、ルールなのだから、と言い聞かせ、ついに佐藤浩市が「これ、ひょっとして映画じゃねえな」と言ったときは、やっぱり受け入れていて良かったと思った。佐藤がいつこれを言うかを待つ映画な訳だけど、待って待ってじらされていた間も、その期待で楽しんでいたわけだし、それだけ“初主演”の高ぶりが大きかった佐藤の映画愛の強さの表明にもなっている。とにかく佐藤浩市がよくて、ナイフをなめるとこと、バーでの香川照之との場(仮面を剥がす演技)では、かなり笑った。臭い芝居が度胸に見えるの。寺島進が「銃撃戦の中でも笑いながら転がってました」と感嘆しながらボスに報告する。佐藤浩市って、こういうのが出来る俳優とは思ってなかった。見直した。役者ではあと、歌舞伎のほうではなかなかいい役をやらせてもらえない市村萬次郎がよく、この世界にはまだまだ眠らされている才能があるのだろう。ドラマは、細部の整合性の点ではちょっと粗く、この人の標準レベルに劣るかもしれないけど、それでも最後のスタッフの仕掛けが生きるとこで、なんか「良し」という気になってしまう。柳沢真一が佐藤浩市にセリフの臭さを直させる場を入れるあたりで、大筋が整えられる、こういうのが入ることで少しのブレは許せてしまう(それにしても若かったころの柳沢真一と谷原章介の相似に、色男の血脈を見いだすのは、さすが演出家の目)。今の日本でこの手のコメディが作られていることはとても貴重で、もひとつ、大きなセットで作られる映画も貴重になっている。それだけでも価値のある映画だ。
【なんのかんの】さん [DVD(邦画)] 8点(2009-03-16 12:14:54)
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