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作戦室の場、軍人さんたちアガッてるようで、ああ本物だ、とすごく生々しく“ドキュメンタリー”を感じた。弾のピュンピュンいう音も生々しかったが、あれ本物なのか? 同時録音? これ上映不許可になったため、反戦映画という眼で見られるようになってしまったが、一応製作者は国策映画として完成させようと努力している。妥協しても上映される映画を作り、戦場を国民に伝えたいというドキュメンタリストとしての執念が感じられ、それが名作にしている。なにせ時代はノンキではなかった。陸軍のフィルムを使う以上、無駄には出来ない。冒頭の流浪する中国人を描いたのも、ラストの復興へつなげて「こうやって皇軍は同じアジアの人を助けているんです」というメッセージになるし、夕陽の中で病馬が倒れる美しいシーンも「戦地の兵隊さんも馬も大変なんだ、内地の人は辛抱辛抱」ってメッセージになる。一応国策映画としての体面は繕っていたと思うんだけど、でも許可してくれなかった(この残っている版もすでに改訂命令で15分削られたもので、それでも最終許可は下りなかった)。あれかな。夜中のロバの鳴き声の哀切さ、あれはただただ意気阻喪させ、なんか戦場というものの正体を告げていた。私が役人だったら、あの鳴き声で不許可の断を下したかもしれない。
【なんのかんの】さん [映画館(邦画)] 8点(2012-11-08 09:13:49)
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