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《ネタバレ》 すごく神話になりそうな話で、しかも父親の象徴的な誇張なんかがあるために、抽象的な世界になってしまいかねないところを、桃井かおりがリアリティを与えている。ただ現状を受け入れるだけの母、「なんだかわかんなくなっちゃった」とか言うような。父はまっとうな家庭を求める、冷蔵庫という祭壇を持ち込み、肘掛け椅子の玉座を置く。「あらねばならぬ」家庭を外側にがっちり作り上げようとしたときに、内側では最も「反家庭」的なことが起きてしまう。外でふしだらをしないための「おしおき」。こういう屈折は日本家庭の病理としていいところを突いているのだが、もっとリアリズムで押したほうが効果が出たテーマかも知れない、難しいところ。荒戸源次郎だから清順の影響が濃く見え、水槽が割れて金魚が流れ出し屋台崩しに至るあたりは『陽炎座』を思い出す。いくつかのシーンは幻想として美しいが、それがテーマとうまく噛みあってこないように、私には感じられた。ケーキのおうちに雪が降る。やがて切り刻まれてしまうごちそう。廊下をゆく市電てのは、よく私も夢に見るので嬉しかった。
【なんのかんの】さん [映画館(邦画)] 6点(2010-04-01 11:57:01)
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