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今までの人生でベイルートのエステサロンと関係を持ったことはなく、断言は出来ないが、おそらくこれからの人生でもベイルートのエステサロンと関係を持つことはないだろう。つまり私の人生でこの映画を観ていた1時間半ほどの時間だけ、ベイルートのエステサロンの人々に仲間入り出来たことになる。もちろんどんな映画でもそういうことなのだが、とりわけ今回感じた。描かれている、女であることの鬱陶しさやメンドくささ、そして楽しみや喜びは、別にそれほど目新しいものではない。いろんな映画で味わい続けてきたものだ。でもベイルートでも同じような女たちの世界があるのを目撃できたことが、嬉しい。日本ではまず政治がらみの話題でしか登場しない国にも、日常がありエステサロンがある。女性がホテルの予約するときは面倒くさかったりするけど、同じように嫉妬し悩み、また楽しみ喜んでいる。ニュースでは宗教対立ばかり取り上げられるが、イスラム教の戒律と店に入り込んでくるキリスト教の祭りとが共存している。とても新鮮に観られた。これからもニュースでベイルートを見ることがあるだろうが、そのときは看板のBが外れかけたエステサロンのある生きた街として見ることが出来る。題名は直接には脱毛剤なのだが、甘く痛い女性たちの世界をも言っているのだろう。ほとんどの登場人物は素人だと聞いたが、あのオーディションを受け続ける女性もそうなのだろうか。存在感のある見事にみじめなオーディションシーンだった。
【なんのかんの】さん [DVD(字幕)] 6点(2009-11-08 12:13:38)
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