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《ネタバレ》 破滅型の話かと最初は思ってしまった。時代遅れのアル中のカントリー歌手で、なにしろ車の長旅から出てきて、小便を捨てるシーンからという登場の仕方。「それでも歌に殉じて滅んでいく」っていう芸術没頭型の破滅へ向かう話だな、と思っていたら、そうでもなく破滅しないの。かつての後輩の前座をやるか、ってマネージャーの電話に、イエスと答える。恋人の愛を取り戻すために、禁酒会にも参加する。かっこいい破滅より、じたばた生きるほうを選択していく。そこにけっこう心動かされてしまった。恋人との会話の中で「子どもを失ったら生きていけないわ」というようなことを言われて「でも実際は生きていけるんだ」と言った。それでも生きていく、と言うとなんか力こぶを込めたようなイメージになってしまうが、人生に勝ったとか負けたとかいう基準の外に広々とした世界があるんだ、ということを本人が見せてくれた。ある種の柔軟さ。もちろん当人は傷だらけだが、悲壮ではない。破滅に飛び込まないで生き続けていく主人公を肯定的に描いて、気持ちのいいラストだった。
【なんのかんの】さん [DVD(字幕)] 7点(2011-04-28 10:03:50)(良:1票)
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