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題名からは単純な二元的世界を想像してしまうのだが、とんでもない、ややこしい状況。たしかに何かと何かが対立しているのだけど、それがよく分からんのだ。話の軸になるのは、アントニオと彼が狙う相手との対立。神から離れた位置にある者に対して、後者は二つとも宗教団体のよう。しかしそのアントニオを雇ったのが教会だからまたややこしい。さらにその二つの宗教団体も、熱狂的な狂信家とほとんど泥棒集団のような違いがある。どちらも無垢な者への殺戮という点で共通しているけど。そしてこのややこしい世界をマヌエロが、あちこちへつまずき引っかかりながら駆け抜けていくわけだが、彼とアントニオがひたすら個人であるのに対して、あとの者たちが集団であることにも対立がある。これら傷つけ合っている人々に対して、作者は積極的な批判を加えていない。地主や白人神父に対してははっきり憎悪が感じられるのに。これら傷つけ合っているものたちに分裂するなと呼びかけている映画なのだろうか、憎悪の対象をはっきり見定めよと。マヌエロのように、もう一度「個」から出発せよと。この対立をこそ言いたかったのかも知れない。ブラジルの状況に疎いものには、乗り切れないところもあるが、前半はかなり興奮した。よく風が吹くのがいい。
【なんのかんの】さん [映画館(字幕)] 7点(2011-06-28 10:20:01)
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