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ファーストシーン、光と影のサスペンスであると同時に、女がぞろぞろと歩いているどうしようもないおかしさ、見てるほうとしては、まだどういう設定か分からないんだけど、市川さんの映画だなあ、とシミジミ思わされる。働く女性ってのがかなり定着してきた時代(翌年に鈴木英夫の『その場所に女ありて』)。それまでの養い・養われる、という男女の定型が崩れ出してきた。これ見ると、男のほうは仕事の手順忘れていたりして、女のほうがギラギラ働いている。なのに男にはまだメンツがあって、そこらへんに悲喜劇が生まれる。あるいは、女は男によく優しさを求めるけれど、優しい男とはこういう残酷もある、って言っているのか(「誰にも優しいってことは、誰にも優しくないってことでしょ」)。でそれを上回る残酷を、女が優しさとして発揮した、というストーリーなのか。とにかく和田夏十のそのシニカルさを徹底した視線が感じられる。宮城まり子の存在が、ちょうど『鍵』の北林谷栄を思わせ、ゴタゴタやってるのを外から見る者としての役割りを担っていたよう。最後に二人が自閉的に籠もってしまうってのは、なんとも不気味。二人で向かい合って喋るシーンが多かったなあ。
【なんのかんの】さん [映画館(邦画)] 7点(2012-09-24 10:21:01)
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