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豚と心を通わすのが子どもでなくてじいさんというのがいいな。これでずいぶん奥行きが出せた。食われるための豚も牧羊犬も、つまるところ人間の奴隷ではあるんだけど、「尊厳」というモチーフを持ち込めたわけだ。そしてあくまで動物の世界が主で、人間の世界を背景にしたのもスッキリしている。目覚まし時計始末のあたりの演出もなかなかのもので、引っかかって揺れるペンキや転がる毛糸玉、それに足を引っ掛けそうになるところなど十分緊張を高めといて、その瞬間は見せない。あとの乱れた室内と足跡で笑わせる仕掛け。猫の嫉妬による告げ口がポイント。母犬が、そんなことはないのよ、でなく、そうよ、と言うところが立派。豚は食べられるために存在する社会、これを諦念とするか、革命への心準備とするか。おそらくドラマとしてこれ以上突っ込むと、娯楽作品の枠を壊してしまうので、けっきょく「けなげなヤツが尊厳を見せる」といった地点でまとめてしまうんだけど、たとえばこれを見た子どもが、その先を考えるきっかけにはなっただろう。子ども向け映画はそれでいい。でコンテスト、それが豚であるというだけで場内は笑いに包まれ、そのなかでけなげなベイブを見ていると、やっぱり涙ぐんでしまうのであった。
【なんのかんの】さん [映画館(字幕)] 7点(2009-08-12 12:06:30)(良:2票)
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