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病んだアメリカになる前の爽快なアメリカ。上下二巻本の長編小説を読んでいるようなロマン。アイルランド時代のちょっとはぐらかし気味のユーモア感覚がよかった。ジョセフとシャノン二人にとって「フリーの国アメリカ」の意味が違うの。女にとっては因習のないモダンの国ということであり、男にとっては自分の土地がフリーで手に入る国ということ。渡ってから幻滅も快哉もあるけど、それぞれのフリーランドを手にしていく。西部劇への敬意も随所に感じられ、フォードの『三悪人』のランド・レースが、カラーのトーキーで再現される。モヤモヤ解消のために、ワーッと乗り込んでいって一発殴っちゃうあたりのリズム感が面白い。オクラホマの再会なんかかなり強引なんだけど、蹄鉄一個で納得させちゃう。シャノンのお母さんが洗濯してるのも正しい。指でつまんでグルグル回すやつ。どうしようもない暴れ馬に乗るのも正しい。喧嘩は嫌いだといって殴る(三度)のも正しい。一つ一つはどうってことないけど、丁寧な印象を与えている。
【なんのかんの】さん [映画館(字幕)] 7点(2012-03-17 10:14:03)
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