| 作品情報
レビュー情報
《ネタバレ》 成田三樹夫や岸田今日子という配役が実はちょっと心配だった。モロ悪人・モロ非人間って感じの造形になってるんじゃないか、と。しかしさすがいい役者はフトコロが深い、ズルズルとああいうことやってしまいかねない環境をじっくり再現する部分としての役割に徹し、個人の問題を越えられた。あたりに瀰漫している死。大きい動きに翻弄されて、責任もその大きなものに寄りかかっていれば消えていってしまう気配。言い訳が準備されていれば・別の責任者がほかに用意されていれば、人は大抵のことは何でも出来ちゃうという怖さ。本来善なる目的を持った集団が、狂気をはぐくむ。そこへ向けて凝集している作品になれた。人を生かすための手術では死なせてしまい、人を死なせるための手術では、その心臓の強靭さに素直に感動する空気がみなぎる。ここらへんの皮肉。そしてラストのキモ。日本人がキモと発音するときの精神主義の厭わしさが重なって、私は単なるブラックユーモアを越えたと思った。
【なんのかんの】さん [映画館(邦画)] 8点(2010-07-31 10:09:44)
その他情報
|
© 1997 JTNEWS |