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西部劇ではずいぶん荒野の一軒家を見てきたはずだが、本作のファーストシーンで初めてその孤絶ぶりを感じた。戸を開けるともう荒々しい「外」がそこまで来ている。開拓者たちの心細さがひしひしと伝わるカット。だからこの映画でのコマンチは、単にインディアンというだけでなく、コヨーテや砂嵐や開拓者を脅かす新世界のあらゆるものを代表して存在しているんだろう。主人公たちの一行に、砂丘を並行して進むコマンチのシーンも、「開拓される側すべて」の警戒の象徴として彼らを見たほうが迫る。今までの騎兵隊ものではインディアンはただ駆除されるために存在していただけだが、本作では憎しみの対象になっている。そのためには悪玉を白人が演じなければならないところが、ハリウッドの限界だろうが、格上げされたことは確かだ(自分を妻と思い込むコマンチ女など、まだまだ差別描写は多い)。というわけで、これ異色西部劇としての価値はあろう。ただアメリカでの絶賛は分からない。今回で二回目の観賞で、前回より大きめの画面でその自然描写には堪能できたが、フォードの最大傑作というには躊躇させられる。初めて見たときの疑点(さらわれた姪への殺意にまで膨らむイーサンの執念の根拠とか)はそのまま残った。
【なんのかんの】さん [CS・衛星(字幕)] 6点(2012-11-24 10:46:46)
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