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古びた鏡の上を這っていくデンデンムシ。プリズムの光の反射する廊下。ものうげに流れるタイスの瞑想曲。それぞれの部屋の痴態はそれぞれの部屋で閉じていなければならないはずで、裸で廊下に出てきたりしてはいけない。これはいわゆる「愉快犯」のハシリですな。殺したい積極的な意志があるわけではなく、殺せる状況を確認したいという感じで、スーパーの飲み物に毒物を入れたりするアレと同じ動機。見るだけでなく、関わることもできることを確認したい天井裏の男。斜めの構図は無理して入れてる。窮屈感ってことか、普通使われる不安感とはちょっと違う。昔のこの人の構図の凝りようは、それなりの納得に通じるものがあったが、このころはもうそれが自己目的化しているようで、味わいとしては薄い。
【なんのかんの】さん [映画館(邦画)] 5点(2011-02-01 09:54:45)
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