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虎の尾を踏む男達 のクチコミ・感想
作品情報
タイトル名 虎の尾を踏む男達
製作国
上映時間59分
劇場公開日 1952-04-24
ジャンルドラマ,サスペンス,コメディ,アドベンチャー,時代劇,ミュージカル,モノクロ映画,パロディ
レビュー情報
腹のすわった立派なサムライと卑屈な庶民の関係って、師弟関係とは別に、黒澤が好んだ設定で、たとえば後年の『隠し砦…』にも通じていく。その最初の登場が本作だ。また「平家物語」の映画化を生涯の夢にしていた監督が、けっきょくその時代近辺を描くことができたのは、この短い一編だけだったわけで、その点でも貴重な作品。富樫がになう役割りを、富樫と梶原の使者との二人に善悪で分割しすっきりさせている。善悪というより、人情的と官僚的か。勧進帳読み上げのシーンは、梶原の使者に登場させ、カットを畳み込んでサスペンスを盛り上げる。ここらへんはホントうまい。富樫の山伏問答ではロングで引き、セリフと音楽で盛り上げる。同じ手を続けない。後段、エノケンは酔って踊り、これまでずっとビクビクしていた庶民の彼が、ここで初めて「立派なサムライたち」に溶け込む。しかし目覚めてみれば独りぼっちで置き去りにされていた。立派なサムライたちの仲間には入れてもらえなかった。サムライたちの末路を暗示しているような、また庶民にとってああいう立派さがそもそも一場の夢であるような、そんなエンディング。以後も黒澤作品ではこの断絶がしばしば描かれ、なにかと引っかかるところではある。大きな夕景のなかに一人でたたずむってのも、これから何度か目にするモチーフ。
なんのかんのさん [映画館(邦画)] 7点(2008-11-13 12:17:57)
その他情報
作品のレビュー数 33件
作品の平均点 6.06点
作品の点数分布
013.03%
100.00%
200.00%
326.06%
426.06%
5515.15%
61030.30%
7721.21%
839.09%
926.06%
1013.03%
作品の標準偏差 1.91
このレビューの偏差値 52.59
※この作品のどの当たりの点数に位置するかを表した値
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