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《ネタバレ》 夢で肉親が死に絶えているのが不気味。その悪夢に対する配慮か、珍しく寅がサクラたちと一緒にいるラストになるが、これはこれで悪夢。セッタの半分を熊に食いちぎられて気を失っている寅をみなが担いで運んでいるのを上空から撮り、上昇してパンして終わるってんだから異様でしょ。こういうヘンなトーンの作品を時々入れとくのも、シリーズものを長持ちさせる上で大事と思われ、本作はその「ヘン」を味わう一編。娘の結納で「これでこの界隈に独り者はいなくなった」と社長が言ってしまってからハッとなり、すかさずオバチャンが「寅ちゃん」と叫んで、ああいつものデンで店先に寅がムッと立ってるんだなと思わせといて、実は小包の配達というズラシ(商売ものの地球儀のプレゼント)。こういうマンネリの部分でフェイントをかますのも、シリーズものならではの工夫だ。カタギの登が懐かしかった。大河小説にあるような、忘れかけていた人物再登場の味わい。あと本作では佐藤B作との絡みの場が楽しく、『黄色いハンカチ』みたいな役を、健さんとまったく逆の男に演じさせてみたおかしさ。トニーの宿のうらぶれた感じは、たとえばリリーの下宿などを思い出させ、こういうところ手を抜かない。
【なんのかんの】さん [映画館(邦画)] 7点(2013-04-13 09:59:17)(良:2票)
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