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地にはぬかるみ、空には曇天。そのなかの上下から圧迫されているような世界、あるいは廊下の左右から圧迫されている気分。ソ連映画でよく味わう気分、これはロシア人の心象に深く刻まれている気分なのか、単にあちらの気候のリアリズム的反映なのか。近くに収容所があり、やがて主人公も、拘束から何度も逃れていく。よっぱらいの歌・よさこい節・スターリン賛歌・ダンスパーティと歌が多い。この天候と歌とが互いを嘲笑しているようで、そこから滲み出した狂気もあちこちに潜んでいる。みんなここ以外の場所へ行きたい。生活する楽しみが何一つ見いだせない町。しかし外には悪の世界がある。この少年と少女、弟的なものと姉的なものに、男女の原型が感じられた。後半、ガリーヤが「姉」のなかから「女」の気配をのぞかせる。ストーリーとして・あるいは道徳的教訓として要約される前に、このようにしてあった少年と少女の存在感のほうがグーッときて、それに圧倒される。こういう世界がたしかに地球上のある時期に存在した、って。長回し・手持ちカメラのドキュメントタッチの力。
【なんのかんの】さん [映画館(字幕)] 8点(2010-06-25 11:56:16)
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