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さらば箱舟 のクチコミ・感想
作品情報
タイトル名 さらば箱舟
製作国
上映時間127分
劇場公開日 1984-09-08
ジャンルドラマ,小説の映画化
レビュー情報
黄色の鮮やかさ。全体のくすんだ色調の中で、ハッと目を引く。黄色とは、そもそも「黄昏」とか「黄泉の国」とか、日本では時間の終わりや死のイメージを含んで、淀んだドローンとした雰囲気を帯びがちなのに、この作品での死=黄色い花びらは、実に鮮やかなんだ。死者が明確に存在するのと同じ。監督の当時の心境の表われか。逃げつつ戻ってしまうというのは彼の生涯のモチーフで、共同体への愛憎が感じられる。記憶喪失のエピソードが一番いい。忘れてしまうことへの恐れがあり、忘れられてしまうことへの恐れもあり、その不安の中でかぼそく睦みあっているのが、なんと愛なんだな。今まで北方志向だったのが南方に向き、装飾性も控え目で、神話的なメロドラマを強調し、異質の手触りとなった。病をおして撮った映画ということで、とかく「遺言」的な見方をされたものだったが、監督はさらなる新境地を目指していたのかも知れない。
なんのかんのさん [映画館(邦画)] 7点(2013-04-10 10:02:35)
その他情報
作品のレビュー数 12件
作品の平均点 6.17点
作品の点数分布
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318.33%
4325.00%
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6216.67%
7216.67%
800.00%
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作品の標準偏差 2.19
このレビューの偏差値 51.73
※この作品のどの当たりの点数に位置するかを表した値
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