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これ貧乏ってことがポイントだ。貧乏ゆえの掟であって、食うこと(歯)が罪悪感を伴ってくる。その実感を出すために、この歌舞伎的な様式が必要になったのだろう。リアリズムで演出したのでは、実感が出なくなってしまうということ、これ映画の手法を考える上で大事なことだ。とにかく製作者の気迫が感じられる作品で、会社を説得させるために前年に『喜びも悲しみも幾歳月』を作ってヒットさせ、やっと本作を手がけることが出来たという。村の長老たちが並んでの、山送りの作法を伝える儀式の重苦しさなど素晴らしい。監督のフィルモグラフィーを眺めると、深沢七郎による本作と『笛吹川』の二作が質感の異なる岩として浮き出て感じられる。木下のこういう深沢七郎の残酷と共鳴する部分をどう捉えるか、ってのが監督について考えるとき避けては通れない気がする。
【なんのかんの】さん [映画館(邦画)] 8点(2013-11-20 09:47:50)
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