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殺虫剤ドラッグってイメージは面白いのよ。ジュディ・デイヴィスがハーッと息を吹きかけるとゴキブリがポロッと死んで落ちてくなんてユーモアもいいし。タイプライターとゴキブリの合体、きっと文章なら面白かったんだろうと思うんだけど、映像という具体物でいくとシラケちゃうんだなあ。イメージの広がりが止められちゃうというか。昔読んだアイルランドの小説『ドーキー古文書』ってのに、自転車人間てのが出てきて面白かった、あれなんかも実際目で見ちゃうとさほどのことなかったのかも知れない。ユーモアが乾燥しちゃう感じ。難しいんだよね、イメージが具体化されるのが映画の一番の強みのはずなのに、それが弱点にもなっちゃう。本来小説は、映像化され得るものを超えたイメージを文章で組み立てようと試みているんだろうな。で、本作のモチーフ、書くということへの嫌悪感。書くから孤独になるのか、孤独になるから書くのか、っていうようなこと。でもそういう方面に頭を働かすまでに映画に世界の広がりが感じられなかった。映っているとこの外側も、そういう世界が広がってるんだろうな、という確からしさがなかった。主人公の妄想の世界だからそれでいいんだ、っていうのかも知れないけど、妄想ってものこそ際限なく広がっていっちゃうもんなんじゃないのか。
【なんのかんの】さん [映画館(字幕)] 5点(2012-04-01 10:06:22)
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