Menu
 > 作品
 > ハ行
 > 母(1926)
 > なんのかんのさんのレビュー
母(1926) のクチコミ・感想
作品情報
タイトル名 母(1926)
製作国ソ連
ジャンルドラマ,サイレント,モノクロ映画
レビュー情報
ソ連のプロパガンダ映画ではある。資本家は悪人だし、裁判は腐敗しており、労働者たちは前向き。しかしこの母と父の描き方によって、公式性から抜け出し、映画の質を高めていたと思う。旧世代に属するこの母親、新しいことを大それたことと思ってしまう人。ツァーの威光を素朴に信じているだけでなく、どんな時代のどんな母親にも通じる普遍性を持っている。父親も、前向きの労働者たちより存在感が濃い。これから批判していく存在を、決して小さく描かず、正確にスケッチする。実際、虐げられているからと言って、みなが労働戦線に参加するわけではないのだ。うまく資本家側に使われてしまう者たちもたくさんいたわけで、そういう者たちを単純に「裏切りもの」と批判して片づけてしまう粗雑さを戒める基準が、作者側にあった。酒場のシーンが素晴らしい。臭いやうるささまで、無声映画で巧みに表現されていた。ここにはもう立ち上がる気力さえ失せた労働者たちがたむろしているわけで、戦う人々よりリアリティがある。そしてけっきょくロシア文学が優れていたのは、その部分ではなかったか。自然を描くショットが美しい、雪解けのモンタージュはややくどかったが。
なんのかんのさん [映画館(字幕)] 8点(2012-07-14 09:56:43)
その他情報
作品のレビュー数 3件
作品の平均点 7.33点
作品の点数分布
000.00%
100.00%
200.00%
300.00%
400.00%
500.00%
600.00%
7266.67%
8133.33%
900.00%
1000.00%
作品の標準偏差 0.47
このレビューの偏差値 80.00
※この作品のどの当たりの点数に位置するかを表した値
母(1926)のレビュー一覧を見る


© 1997 JTNEWS