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少年や青年にもっともふさわしかるべき心情を、あえて中年に移して楽しむのが、この監督の趣味。そこから生まれる「照れ」とか、それを隠そうとする「ブッキラボー」が味わいになる。人と視線を合わせられない照れくさがりの純愛を、中年が演じる。侘しいことは侘しいんだけど(だって中年だもん)、でもそういう人生を肯定している。ミシンを踏む中年男の、こうでありたかった自分の妄想かもしれないけど。ホテルやカフェの入口・受付のあたりになると、この監督らしい雰囲気が立ち込めてくるのは何なのか。ブッキラボーだからか。客との応対のように人々のドラマが進行して、そのなかで不意にタチアナが寄り添うからいいのか。やや俯きながら画面に入ってくるとことか。フィンランドの「フィン」て、ハンガリーの「ハン」と同じく、フン族の「フン」から来てるそうで、こちら東洋の流れを汲んでるらしい。こういう「侘しさ」にこだわるとこなんか、同根を感じる。原題は「タチアナ、スカーフに気をつけて」か、そっちのほうがいいじゃないか。
【なんのかんの】さん [映画館(字幕)] 7点(2010-06-29 11:57:26)
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