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山の音 のクチコミ・感想
作品情報
タイトル名 山の音
製作国
上映時間95分
劇場公開日 1954-01-15
ジャンルドラマ,モノクロ映画,小説の映画化
レビュー情報
《ネタバレ》 原節子。この人の貼り付いたような笑顔はいつも僕を戦慄させます。説明的描写が少ないところが素晴らしい。菊子がなかなか子供ができないことを実は悩んでいたことや、遺書を書こうとしていることなど、直接的ではなくさりげなく語られます。
 また、映像の面でも小津作品よりも開放的というか、ロケ撮影が多いです。木漏れ日の当たる細い道を二人が歩くシーンは何度も出てくるし、ラストシーンもロケです。セット撮影であっても外とのつながりを重視しているように見えます。少なくともいきなり屋内、というシーンはあまり無いような気がします。一つの成瀬映画の特徴と言ってよいでしょう。そして屋内の移動の描写が多いです。小津は一室一室のカットが多いのに対し、成瀬は部屋から部屋への移動や庭を挟んでの移動、小道から家へ入る移動、廊下から部屋への移動、事務室のドアから部屋への移動、というように空間の移動が殊更意識されているように見えます。「家」そのものを描写しようとしているかのようです。
 堕胎はまるで自殺だぞ! という台詞が強烈でした。堕胎の前に心中の話題を出し、伏線を張っておいてのこの台詞は素晴らしい。明るい笑顔ばかりを見せていた菊子が、その心中の話を義母に聞かされたところで初めて思い詰めた顔をするのも効果的です。
 目線だけで人物の移動を表現する手法も多用されており、所々に成瀬節のようなものを感じました。日本間のタテの線の美しさも感じられ、非常に質が高い映画です。
Balrogさん [DVD(字幕)] 7点(2010-07-24 22:51:51)
その他情報
作品のレビュー数 21件
作品の平均点 6.62点
作品の点数分布
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5628.57%
6628.57%
7419.05%
829.52%
914.76%
1029.52%
作品の標準偏差 1.56
このレビューの偏差値 51.57
※この作品のどの当たりの点数に位置するかを表した値
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