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《ネタバレ》 多分にメタファーに満ちた作品。「神経症と不安の現代人」に対して、神話を提示してみせる宮崎の新たな試みをポジティブに評価したい。あまりに無垢に世界を破滅へと導くポニョの神々しさと、あまりに容易に「愛」で世界を破滅から救ってしまう宗助ら人間の対比、ストーリーの破綻と言ってしまえばそれまでだが、この破綻具合が「神話」そのものな気がしてならない。グランマンマーレが自らの出自を語る部分「私たちは泡から生まれた」などは、ヴィーナスの神話を明らかにモチーフとしている。ならば彼女は神として、フジモトは魔法使いとあるが、俗世を捨てて人であることをやめながらも、なお世界の均衡を保とうとするその姿は「森の人」などと重なる、しかしどこかカリカチュアルだ。この世界でもっとも「人間的」なのは、皮肉屋で懐疑的で、周囲から浮いている老婆トキである。トキ以外の、宗助ら全ての登場人物は、あまりに記号的すぎて感情移入ができない。大人はこれを子どもに見せたい、しかし子どもはこれを見たがるだろうか。
【JUKE】さん [映画館(邦画)] 8点(2008-08-08 10:14:22)
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