Menu
 > 作品
 > タ行
 > 007/スペクター
 > サムサッカー・サムさんのレビュー
007/スペクター のクチコミ・感想
作品情報
タイトル名 007/スペクター
製作国米,英
上映時間148分
劇場公開日 2015-12-04
ジャンルアクション,サスペンス,アドベンチャー,シリーズもの,小説の映画化,スパイもの
レビュー情報
《ネタバレ》 ガンバレル、そしてプレタイトル・シークエンスに続いてオープニングテーマが始まる。そこには過去3作の重要人物が登場する。
伝統的な一連の流れだけで、この作品に込められた意味や立ち位置が理解できる仕組みだ。
本作が目指すのは究極の「ボンド映画」であり、過去作品はスペクターへの壮大な伏線であったのだ。

実際、本作はどこをとってもボンド映画といった印象だ。
まずは世界を股にかけたロケーション。死者の日や雪山、列車に砂漠など、何かしらの特徴を持たせているのが面白い。ボンド映画らしいケレン味を演出する仕掛けだ。

それを活かしたアクションも素晴らしい。大迫力の映像の中に、忘れずユーモアを盛り付けているのが憎い所だ。さらにはタフなライバルの出現も熱い。ボンドに対峙する巨漢はジョーズを思い起こさせる。(ちなみにQの遠征は「消されたライセンス」を彷彿とさせる)
今回は敵が「組織」ということで、ボンドもスクワッドを組んで闘うのが新鮮である。普段は待機組のMたちだが、Mとマニーペニーは元工作員として描かれているため、こういった使い方もアリなのだ。クレイグ=ボンドの世界観を上手く昇華させていると言える。

メンデス監督の人間描写もボンド映画の中に活きている。
拷問で意識を失いかける中、マドレーヌの言葉に応え時計爆弾を持ち直すシーンは特に印象的だ。研究所に向かう車中で「怖ろしいわ」と漏らす彼女に応え、ボンドが無言で手を握る描写が事前にあるから、こういう大人のラブストーリーに説得力が出る。

惜しむらくはスペクター首領か。名優を投入して色気が出たか、首領にしては前線で体を張りすぎである。ボンドへの興味の表れともとれるが、参謀役がいても良かったかもしれない。

しかしそれを補ってなお余るほどの完成度だ。
思えば新ボンドが決まったとき、世間ではバッシングが起きたものだ。僕自身、クレイグ=ボンドに懐疑的だったが、しかしそんな感情は「カジノ・ロワイヤル」公開当日に払拭され、以降は新作が出るたびに新ボンドを確立された。炸裂する爆弾のように闘い、愛し傷つき涙を流す人間ボンドだ。
そして伝統的な様式美を携えた本作を観たとき、クレイグの起用やシリーズのリブート、新ボンド像への挑戦、それら全てが「スペクター」で繋がったような気がした。前3作の正統な続編、正常進化の結果がこれほど素晴らしい「ボンド映画」として結実するとは感慨深い。
サムサッカー・サムさん [映画館(字幕)] 9点(2015-11-29 02:36:51)
その他情報
作品のレビュー数 81件
作品の平均点 6.42点
作品の点数分布
000.00%
100.00%
200.00%
322.47%
456.17%
51316.05%
62227.16%
72125.93%
81316.05%
944.94%
1011.23%
作品の標準偏差 1.41
このレビューの偏差値 62.92
※この作品のどの当たりの点数に位置するかを表した値
007/スペクターのレビュー一覧を見る


© 1997 JTNEWS