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奇跡の人(1962) のクチコミ・感想
作品情報
タイトル名 奇跡の人(1962)
製作国
上映時間106分
劇場公開日 1963-10-26
ジャンルドラマ,モノクロ映画,実話もの,伝記もの,戯曲(舞台劇)の映画化
レビュー情報
《ネタバレ》 三重苦を克服することは可能か、考えたことがある。結論として、生まれながらの三重苦の場合は、どう考えても無理と思った。言葉があるということをどう教える?ましてや話せるようになるなど。2才で三重苦となったヘレン・ケラーが克服したことになっているが、信じられないでいた。自伝を読んでも、釈然としなかった。水に触れさせ、今触れているものの綴りがWATERで、発音がウォーターってどうやって教える?ましてや手には触れられない物や抽象的な概念をどうやって?長年の疑問の一端が本作で氷解した。方法はこうだ。先ずふたりだけで生活する環境を整え、相手に自分を頼らせる。その意味が分からずとも、とりあえず指と指で文字を伝え、自分の顔に手を触れさせ、表情や首の振り加減で、うまくできたか、嬉しいなどの感情を伝える。躾は、ちゃんとできるまでは食事をさせなほど厳しくし、うまくできた場合は褒美のケーキを与えたりして誘導する。これを何度も何度も繰り返す。決して諦めない。そして最難関は「ものには言葉があって、今触れているものの綴りが指文字で伝えられているもの」と理解させること。これは本人が気づくのを待つしかない。
サリバン先生の熱意、母親にも勝るとも劣らない愛情には頭が下がる。体ごとぶつかり、決してくじけない、その鬼気迫る姿は胸を打つ。彼女自身かつて盲目であり、孤児として救貧院で悲惨な生活を過ごし、盲学校時代に二重苦を克服した人と出会っている。これらの経験が活かされている。逆にこれらの経験がなければ”奇跡”は成し得なかったろう。二人の出会いは神の祝福だ。
ヘレンの野獣児ぶりには度肝を抜かれた。ホラー映画顔負けの怖さがあった。エクソシストの少女のように、いまに首を180度回転させ白目を剥いて「WATER!」と叫ぶんじゃないかと想像したほど。食事を教えるシーンは屈指の名場面。
The Miracle Workerは「奇跡的な職人」で、ヘレン・ケラーのことではなく、アン・サリバンのこと。史実では先生20歳でヘレン7歳だから、役者の実年齢とはだいぶ違う。映画では触れられていないが、発音を教える方法は、生徒の指を先生の唇と喉もとに当てさせて、振動を覚えさせる。これを実際にアンとヘレンが実践説明している動画を見た。ヘレンが来日したときサリバンは既に帰らぬ人となっていた。
よしのぶさん [DVD(字幕)] 9点(2012-12-21 16:30:05)
その他情報
作品のレビュー数 123件
作品の平均点 8.15点
作品の点数分布
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6129.76%
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83830.89%
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101512.20%
作品の標準偏差 1.35
このレビューの偏差値 54.64
※この作品のどの当たりの点数に位置するかを表した値
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