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運動靴と赤い金魚 のクチコミ・感想
作品情報
タイトル名 運動靴と赤い金魚
製作国イラン
上映時間88分
劇場公開日 1999-07-24
ジャンルドラマ,コメディ,スポーツもの,学園もの
レビュー情報
《ネタバレ》 靴を失くすという小さな日常の出来事から広がる物語。たかが靴だが、貧しい家の子供にとっては切実。大人の視点で言えば、靴を失くしたことを正直に打ち明ければよいし、兄妹の運動靴の交換は学校のすぐ近くで行えばよいし、マラソン一等賞の賞品を売って運動靴を買えばよい。でも子供には子供独特の考えがあって、思わぬ行動に出ることがある。そこが面白く、子供たちの一喜一憂が新鮮。◆兄弟愛を描いているようで、主眼は家族愛でしょう。特に父子愛。母は病気で存在感が薄い。が、自分達より貧しい隣人にスープをおすそわけするという(イスラムならではの?)優しさを持つ。父の描写が素晴らしい。子供達には強い父。家賃五ケ月も溜めているのに家主には何故か強気の姿勢。家に砂糖がなくても、仕事で預かった砂糖を拝借するようなことをしない。茶給仕の仕事では家族を養うには足らない収入。そこで庭仕事の仕事を始めるという善き父ぶり。一方でコーランの一節には涙を流し、お屋敷街の豪邸で「庭師です」と売り込めず、犬に吠えられ逃走という小心ぶり。庭仕事で予期せぬ高報酬を貰っても自転車事故を起こしてチャラに。そして最後に最大のサプライズ、お金をやりくりして子供と約束した靴を購入。こんなに正直で人間味溢れた父親の元では子供も素直に育つと思う。兄妹が、失くした靴を履いている少女の家を訪ねるが、その父親が盲目で、どうやら自分達より貧しいらしいとわかったとき、何も言わずに帰るという心温まる挿話があるが、この優しい心を育てたのは両親の薫育でしょう。親の後ろ姿を見て子供は育ちます。◆靴を洗っている最中に、ついシャボン玉遊びになる場面は、子供の幸福を象徴する最も美しいカット。男の子疵ついた足を癒すように集まる金魚は家族の愛の象徴。最後の喜ぶ場面を省略したのは潔い決断。◆違和感があるのは、学校の女子部の終了と男子部の開始の間の時間が無さすぎること。普通はお昼休みが入る。これは兄に走らせて、これが意図せぬ訓練となり、後半のマラソンでの活躍につなげるための”強引な”演出。あと一等賞を取らせるのは如何なものかと思う。テストで満点、マラソンで一等では出来過ぎの感あり。主題からして四等賞が妥当かと。溝に流れる靴を取ろうする場面、自転車事故場面、マラソン場面などはカメラワークがこなれていない印象。父が新しい靴を調達する場面は一番最後がよろしいのでは。
よしのぶさん [DVD(字幕)] 8点(2012-09-10 12:06:17)
その他情報
作品のレビュー数 187件
作品の平均点 7.64点
作品の点数分布
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310.53%
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62312.30%
73920.86%
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93217.11%
10189.63%
作品の標準偏差 1.43
このレビューの偏差値 51.75
※この作品のどの当たりの点数に位置するかを表した値
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