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街の灯(1931) のクチコミ・感想
作品情報
タイトル名 街の灯(1931)
製作国
上映時間87分
ジャンルドラマ,コメディ,サイレント,モノクロ映画,ロマンス
レビュー情報
《ネタバレ》 オープニングが出色。塑像のオープニングセレモニーの幕が開いたらFが寝ていて、早々に追い出される。これだけでFは浮浪者で、社会と関わりを持たず、社会にとって異物でしかないことがわかる。ただ歩いているだけで新聞売りの少年にからかわれる始末。◆そんなFが二人の人間を助ける。一人はお金持ちM。Mが自殺しようとしたのを偶然助けた。Mは酔ったときだけ彼を覚えていて、親友として扱い、金銭援助も惜しまない。だが素面では何も覚えていない。都合のいいときだけ良い顔をする世間を象徴するようだ。◆もう一人は盲目の花売り娘K。きっかけはKがFをお金持ちだと勘違いしたことから。Kが貧しく、祖母との二人暮らしだと知ったFは真面目に働いてお金を稼ぎ、生活の援助をしようとする。人間は頼られると期待に沿いたいと願うもの。まして美しい娘やである。ここでFと社会との関わりができる。だが元来不器用な彼は仕事が続かない。Mと再会して大金を貰いKに渡すが、警察には泥棒扱いされ逮捕される。◆【喜劇から感動へ】Fが刑務所を出てからはシリアス路線。Fはみすぼらしい身形で、顔に精気はなく、新聞売りの少年に対してもやり返せない。そこへ偶然Kと再会。Fは瞬時に理解する。目の手術が成功したことと、花の店を構えて成功していること。Kから目が離せないF。労苦は一瞬にして報われたのだ。Kは浮浪者に一目惚れされたと勘違いする。小銭を恵もうとして手に触れて、Fの正体を知る。名乗りを上げるF。真実を知ってショックを隠しきれないK。落ちぶれたFの姿はKにとって理解できないものだろう。しかしその優しい眼差しは隠されたFの真心と誠意を照らしだしているように見える。◆ちょっとして親切心がその人の人生を変えてしまうことがある。貧しい者が、より恵まれない人のために努力する姿は美しい。一方で「成功したのはお金持ちが気まぐれでくれたお金のお陰に過ぎない」という強烈な皮肉も籠められている。社会矛盾を鋭く衝いているのだ。「City Lights」=Lightは人間のこと。お互い支え合って(照らしあって)ささやかに生きている社会のこと。◆ご都合主義が目立つが、当時の映画としてはこんなもの。サイレントでは複雑な展開や心理描写など望めない。喜劇と感動を融合させ、単なる「喜劇王」から「天才チャップリン」へと変貌を遂げた記念碑的作品。
よしのぶさん [ビデオ(字幕)] 7点(2010-08-02 15:52:40)
その他情報
作品のレビュー数 198件
作品の平均点 8.43点
作品の点数分布
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100.00%
200.00%
342.02%
431.52%
573.54%
6136.57%
72311.62%
83517.68%
93919.70%
107437.37%
作品の標準偏差 1.72
このレビューの偏差値 45.16
※この作品のどの当たりの点数に位置するかを表した値
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