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《ネタバレ》 医療事故に見せかけた連続殺人事件という重いテーマを扱っているが、コメディタッチというのはどういうことか。田口医師が手術を目撃して恐怖をまざまざと体験したり、垣谷医師がはじめてのバチスタ手術に成功して、緊張感から解放されて後ろに倒れこむという印象的な場面があった。命の重さを十分に表現できている。一方で、ソフトボールの試合に乱入したり、うどんをおかずにそばを食べたり、容疑者を動物でたとえてパズルにしたりしている。バランスが悪いのだ。■犯人の殺人動機が「娯楽」「カーニバル」ということらしいが、そういう心情に至る経緯が全く触れられていないのが最大の欠点。まじめに勤務していた医師がある時期から快楽殺人を実行するわけだが、その怪物のような人物像に全く迫らないというのはおかしい。仕事が忙しいくらいしか触れられないのは理解に苦しむ。人間を描く努力をしてほしい。忖度するに原作者は「うまい殺人方法」は考えついたものの「うまい動機」は考えつかなかったのだろう。社会はミステリとしては失格である。■半分しか見えない目で手術を行った桐生医師は無罪放免というのも納得がいかない。「お二人のやられたことは立派な殺人です」と白鳥が啖呵を切っていたが、その言葉はどうなった?それより田口と白鳥は桐生の目の下半分が見えてないとどうやって看破ったのだろうか?心臓の切開場所を人任せにしているからとのことだが、本当に見えなければ手術などできないではないか。それに患者は手術中にすでに死亡しているわけで、それなら体温低下などの何らかの異常が見つかるはずだ。手術の様子は映像に収められているので、犯人は人工心肺医師か麻薬医師とすぐに察しがつくと思うが、どうだろうか?■院長にしても、目立ちたがりやの医師にしても、ウソ泣きの看護師にしても、登場人物全員が薄っぺらい。■聞き取り調査が被疑者の人物像を浮き立たせる肝と思うが、あっさりしすぎていた。謎が謎を呼ぶような展開、雰囲気が欲しかった。謎解きの二段落ちは評価できる。いずれにせよ、このような病院で手術は受けたくないものである。
【よしのぶ】さん [DVD(邦画)] 5点(2010-03-04 20:59:55)
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