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《ネタバレ》 天下人の子供を産む一方で、三度の落城を経験、最後は自害という数奇な運命。波乱の戦国時代を駆け抜け、力強く、真っ直ぐに生きる悲運の女性の姿、その愛を描いてない作品。運命は波乱万丈なのに、茶々という人間像が見えてこない。心の変化や成長がみえないのだ。例えば秀吉から小督を離婚させ秀忠へ嫁すと言われたとき「自分の妹の人生を地獄に突き落とすようなことはできませぬ」と愁訴していたのに、次の場面では小督に向かって秀忠へ嫁すことを諄々と説いている。子供を亡くした場面でも、硬く大袈裟な演技で、その悲しみは伝わらない。台詞まわしが女性らしくなく、表情がつねに威圧的、いうことが可愛くない、最後は53歳の筈なのずっと同じメイクで通す不思議さ。10億円の製作費でその半分も回収できなかった理由はこのあたりにありそうだ。
◆極悪すぎる信長、腹黒すぎる家康、狂人すぎる秀吉、爆発でぶっとぶ後藤又兵衛、流血噴射多発など、滑稽なほど演出過多である。本人達が真剣にやっていればいるほど、傍からみるとおかしいのだ。気になるところは他にもある。蛇と死体、人形の赤ん坊、自死の場面の導火線の数、天主閣が爆発して金粉が降ってくる、少なすぎるエキストラ、「秀頼行くな」と夫を呼び捨て、70歳の家康が若い、三女が老けてる。いっそのこと史実無視で、戦国女剣士ファンタジーにすれば怪作になったかもと思う。◆脚本にも問題あり。女の一生と戦闘の両方を描くのは尺的に無理である。ダイジェストになってしまった。女の一生に焦点を絞り、全て時系列で描くのでなく、一部回想シーンで処理という手法もあった。【時代考証】①当時の大砲は外国製のカルバリン砲かカノン砲で、弾は炸薬を内蔵する榴弾ではなく、鉄球弾。従って弾は当たっても爆発はしない。②小督の夫は佐治一成としているが、当時小督は一成と離婚し、羽柴秀勝へ再嫁していた。③戦の最中、淀殿が家康に会いにいくことはない。甲冑も不自然。④将軍の御台所である小督が、落城寸前の大阪城に乗り込むことはない。⑤秀頼の敵への単騎突撃はない。⑥大蔵卿局が仕置きと称して千姫を殺そうとすることはない。⑦秀頼の子供、国松と奈阿姫が出てこない。国松は斬首。奈阿姫は千姫の養女になっていたので、助命され尼となった。◆最後に家康が「負けた」というけど、私はこの作品の駄目さ加減に負けた。 【よしのぶ】さん [映画館(邦画)] 2点(2008-05-03 10:17:15)
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