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《ネタバレ》 【日照り雨】軒先のセットは氏の家を再現したもの。黒沢氏の父は元軍人で厳しかった。家の厳しさよりも怖ろしいもの見たさの好奇心がまさった子供時代。虹はあこがれで冒険の象徴。人生の冒険の始まり。日照雨は「蜘蛛巣城」の森のシーンにつながる。【桃畑】4男4女の中で育つ。16歳で夭折した姉への追慕。伐採された桃の木の精霊との交感。伐採されたのは氏の幼年時代。涙が流れる。家族愛にも経済的にも恵まれた家庭環境であったことが窺い知れる。【雪あらし】努力すれば報われるという氏の人生哲学。雪山登山は困難を極める映画作りの象徴。雪女は母性の象徴。「雪は暖かい、氷は熱い」は、逆境こそが人生の糧になるということ。母親には甘えることができたようだ。画家を目指して挫折。映画界に入り、監督になれたのは33歳。天才ではなく努力の人だった。【トンネル】氏は体が弱く、兵役経験無しだが戦死は身近だった。さまよう戦死者の魂。戦争の無意味さと残酷さ。彼らの死に誰も責任を取らない。戦後すぐ反省をこめて撮った「わが青春に悔なし」の頃の夢か。爆弾を巻いた犬は特攻の象徴。若く散った特攻隊員の魂が氏の良心を激しく吠え立てる。【鴉】尊敬するゴッホ。画の修行時代ゴッホの画を見たあとでは全てのものがゴッホのタッチに見えたという。「どんな自然も美しい。自我を失くすと自然は夢のように絵になる。そのためには機関車のように働く」映画作りに共通する言葉。ゴッホを追うのは画家になりたいという望み。飛び立つ鴉は魂の解放の象徴。【赤冨士】「生きものの記録」と同趣旨。人間は自然の一部であることを忘れ、科学で便利さを追求し続ける人間の愚かさ。氏が子供時代、父の生家の秋田で生活した経験が影響している。自然と共存する人たちの生きざまを知ったのは貴重な経験。
【鬼哭】核汚染により鬼と化してしまった人間の地獄絵図。鬼の苦悩は氏の苦悩そのもの。人間と自然を心より愛しているが故に現実の人間に対する怒りと煩悶は強い。氏の人類への警告は生半可なものではない。 【水車のある村】 水車は自然を利用する人間の知恵の象徴。理想郷を描く。石に添える花の挿話は体験談。葬式の歌は、自然と調和して生きている人たちへの賛歌。103歳の老人は老境に達した氏の理想の姿。初恋の人は青春の象徴。その葬儀で嘆き悲しむ代わりに、喜び祝い行進する。すでに死を受容する心境にある。 【よしのぶ】さん [DVD(邦画)] 7点(2011-01-24 10:27:12)(良:2票)
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