| 作品情報
レビュー情報
《ネタバレ》 良いミステリーはオチが分かってから、犯人の目で再構成してみて、行動に矛盾がないかどうかで決まる。冒頭バーバルの一人称から語られるので、クリスティの「アクロイド」のようにアンフェアという意見があるが、あれは刑事に向かって語っているので筋違い。事実だけを述べる。①6週間前トラックハイジャックがあり、武器が盗まれる。②NYで密輸を警護する車が襲われ、汚職刑事が逮捕される。盗まれた宝石の行方は不明。③昨日麻薬組織のアルゼンチンの船が炎上し、27人が死亡。麻薬は無く、ソゼを知る人物が死亡。キートン死亡。④昨日キートンの恋人弁護士イーディが殺された。⑤コバヤシ(本名不明)は存在する。以上。ソゼは、自分の正体を知る人物の暗殺を計画。いつ船が経つなどの情報も入手。そこで四人を説き伏せるか脅迫し、船を襲わせた。本当は子分に襲撃させたのかも知れない。ここでキートンが射殺されたのだけは確実。残り三人の生死は不明だが、多分死亡している。ソゼはわざと警察に捕まり、作り話を証言した。これは警察にソゼ=キートン説を誘導し、ソゼを葬るため。その為唯一の証人であるイーディも殺害。最初にキートンを電話で密告したのもソゼ。辻褄は合っている。ソゼの証言者が大金で組織に売られたり、バーバルの釈放に知事から圧力がかかるなど、ソゼはかなりの大物であることは間違いない。似顔絵からソゼ=バーバルでほぼ確定。それ以上の深読みは不毛。ミスリードのソゼ=キートン説でも矛盾しない脚本は高く評価されるべき。ソゼは鉄の意志を持つ男ではなく、おしゃべりの知能犯だった。注目すべきは、最初の面通しの容疑者選びの過程。通常は本命キートン以外はホームレスを使うが、あの面子が選ばれた。ソゼの力が働いたからだ。警察に協力者がいたはずで、警察はそこをヒントにソゼに辿りつけるかも知れない。バーバルが刑事に「お前が役立たずで、バカで、弱いから利用されたんだ!」と責められ、泣くところがツボ。最大の見せ場です。
【よしのぶ】さん [DVD(字幕)] 9点(2009-10-11 14:59:11)
その他情報
|
© 1997 JTNEWS |