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悪名(1961) のクチコミ・感想
作品情報
タイトル名 悪名(1961)
製作国
上映時間94分
劇場公開日 1961-09-30
ジャンルアクション,ドラマ,シリーズもの,ヤクザ・マフィア,小説の映画化
レビュー情報
《ネタバレ》 主人公の朝吉は自分の本来の生き方、有り余る力の発散の仕方がわからず、もがいている若者だ。仕事はせず、昼間から賭け事にふけり、女にちょっかいを出す。青白い遊び人とは違い、度胸があり、腕っぷしはめっぽう強い。最大の特徴は頼まれた事は決してあとに引かない男気を持っている事。それで男からも女からもモテる。◆朝吉のやることは矛盾だらけ。ヤクザが嫌いといいながら、やることはヤクザと同じ。軍鶏を盗み、賭け事をし、ヤクザの客分となったり盃を受け取ったり。惚れた芸者を足抜けさせる算段の最中に、堅気の女と婚約する。偽の拳銃でヤクザを騙すが、人妻の嘘の妊娠話には騙されてしまう。色事には強いが酒は弱い。博打でインチキは嫌いといいながらインチキをする。完全無欠のヒーロー像とはほど遠い。その稚気愛すべきといったところ。本質的に「強きをくじき、弱きを助ける」ヒーローでありながら、その容姿、振る舞いはアンチヒーロー。従来のヤクザ映画に当てはまらない新鮮味がある。◆それが最も表れている所はラストシーン。朝吉はバカ正直に芸者を島抜けにさせた因島に戻り、女親分の折檻を受ける。「わいが死んでも、わいのド根性は死なへんわい!」折檻に根を上げない根性を示すことで、借りを返そうとする。女親分もその心意気に惚れ、朝吉を許す。通常のヤクザ映画では、親分の子分らと大立ち回りを演じるところだ。画面から飛び出しそうな朝吉と弟分の貞暴れぶりが魅力。◆だが他の登場人物はステレオタイプで魅力が薄く、脚本もご都合主義。不幸な芸者はいつも小ざっぱりして不幸に見えない。朝吉と妻になる女との恋愛パートはお茶を濁した程度。見せ場である喧嘩も今一つ吹っ切れていない。◆唯一意外に思ったのは駆け落ちする人妻お千代。朝吉には人妻であることを黙っていて近づき、妊娠したと嘘をつき駆け落ちを迫る。駆け落ち先では温泉芸者になりきって客と情事を結ぶ。まさに毒婦だ。その女が中盤で再会すると一変、女を助け出すためと知りながら、協力を申し出て、結果的に資金と拳銃を提供する。朝吉に惚れているための行動だが、男を手玉にとる一種女神のような振る舞いが心憎い。この女性を主人公にして映画ができると思う。ここで得た資金が終盤につながらないのは残念。拳銃は役に立つが、敵より強い武器を持つことになり、ヒーロー度を下げてしまう。◆結局は女に振り回されてばかりいる男の話。
よしのぶさん [DVD(邦画)] 6点(2011-09-09 14:06:28)
その他情報
作品のレビュー数 20件
作品の平均点 6.65点
作品の点数分布
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作品の標準偏差 1.53
このレビューの偏差値 47.21
※この作品のどの当たりの点数に位置するかを表した値
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