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《ネタバレ》 志村後ろ過ぎるのであった。小学生の夏休みに、爺さんが川を見に行くと言ってよせよせと怒鳴りつける家族を振り切って出て行った。その日、台風が関東に直撃して凄まじい暴風雨が襲いかかっていた。
前日から出ていた注意報や、風と強まってきた雨脚に何故か僕はドキドキしていた。薄暗い朝、唸るような風音が聞こえるようになって布団から這い出すと、テレビを眺めながら丹念に紙飛行機を折る父、息子の朝食を作りながらどうしようも無く情報価値の薄い近所の出来事をおもしろおかしくしゃべり続ける母と祖父に朝の挨拶をして、脂の載ったハムエッグが焼き上がるのを待った。 隣に座っている祖父がそわそわしていた。 「なあ、相模川見に行かない?荒れ狂ってるぞ相模川。ねえ」孫よ、と。子供じゃ無いんだからとたしなめる僕のセリフが聞こえたらしく、母が絶対駄目と祖父を叱るのと同時に卵は焼けた。 何故か、「じゃあ俺一人で行くわ」じゃあ良いもん、と言う勢いで出て行った祖父の背中を思い出す。小学生には妙に神々しかった事とドアの閉まる嫌な音が頭に置きっ放しになっている。 で、プロメテウス号に隠された秘密の任務と、謎のピラミッド。リドリー・スコットである。それを読めたか読めないかで勝敗は分かれたはずだ。明かされない謎、活躍しないキャラクター、雰囲気、ガジェット。見終わって強く思う、こいつは正真正銘のリドリー・スコットだと。 明らかに、よせば良いじゃないかと言う行動を三分おきに取り続けるキャラ達には本当に疲れさせられる。そんなわけ無いだろ!、と言っても手遅れな彼らは正体不明の大気中で奇声を上げながらヘルメットを投げ捨て、子猫ちゃん怒るなよとささやきながら謎の生命体を触りたがる。必ず死ぬのに。 でも、そうではなかったのだった。あの日五分で帰って来た爺さんはビショビショで興奮しながら、 「あれは死ぬ。うん、あれは死ぬよ。お前ら絶対近づくなよ」 と、豪語して見せた。アタリメーダロ!と冷静に怒鳴りつけた大人二人は気付いていない。実際に見てみなければ分からない恐ろしさの裏にある、「すんげー面白かった」に。 でも、残念ながら「おじいちゃん、川見に行くって言って死人でてるよ」とその日のニュースで祖父を僕はたしなめた。 プロメテウスのクルーにも「大人なんだからやめなさい」と言ってあげたかった。 謎商法には興味が無い。 【黒猫クック】さん [ブルーレイ(字幕)] 6点(2013-04-24 20:23:32)(良:2票) (笑:1票)
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