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《ネタバレ》 洒落ているけど小難しい伊坂作品をよくぞここまでわかりやすく映像化してくれました。小説の映像化という点ではパーフェクトに近いと思います。ホント感心しました。ただ話的には原作と同様、胸を打たれるものはありませんでした。前半のゆる~い作りは退屈と紙一重ですが、個人的に好きな空気なので映画に入っていきやすかった。ここまでは良かった。ここからはトリックの話。原作を読んだ方や推理小説をよく読む方ならご存知でしょうが、原作で使われている叙述トリックは賛否両論あります。自分の周りにも邪道だと言う人がいますが、自分は容認派なので“原作は”OKでした。だけどこの作品を見るかぎり映像ではアウトかな。実体があるものを使われるとやはりズルさを感じます。これしか作り様がないのは事実ですが、決してすっきりする騙され方とは言えません。次に構成ですが、こういった構成はどーしてもトリックに目がいってしまうため、時間を使って感情をじっくり温めていくヒューマンドラマとの融合が難しいです。この映画は後半部分がドラマになっていますが、前半にトリックがあるために、感情的に見るというよりネタばらし、答え合わせとしての役割に比重が置かれます。誰かに感情移入して映画に入り込むのではなく、映画対自分になってしまうのです。原作もそうでしたがこのトリックとドラマのバランスが非常に悪いと感じます。映画というより原作を含めた話自体の感想になってしまいましたが、映画自体についてどーしても褒めたい点が一つあります。それは原作を大事に扱った事。原作の良さを崩し、ファンをガッカリさせてしまうものが多いですが、この作品はそれらのものとは違い原作への愛を感じました。内容云々は別としてここは声を大にして評価したい。よってこの分を1点プラスして6点でお願いします。
【オニール大佐】さん [DVD(邦画)] 6点(2009-05-05 10:34:38)
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