Menu
 > 作品
 > ア行
 > あゝひめゆりの塔
 > アンドレ・タカシさんのレビュー
あゝひめゆりの塔 のクチコミ・感想
作品情報
タイトル名 あゝひめゆりの塔
製作国
上映時間125分
劇場公開日 1968-09-21
ジャンルドラマ,戦争もの,モノクロ映画,青春もの,学園もの,歴史もの,実話もの,小説の映画化
レビュー情報
《ネタバレ》 沖縄戦の映画です。対馬丸の撃沈、沖縄大空襲などをなぞった後、「ひめゆり」と呼ばれる沖縄師範学校女子部と県立第一高等女学校の生徒たちの動員の様子を追いかけます。悲惨な結末を際立たせるため、女生徒たちの健気な側面を過剰に演出しているように見えます。もっと描くべきものがあった気がします。例えば、南風原陸軍病院を撤退する際の青酸入りミルクは、捕虜を許さない軍が動けない重傷者を殺すために飲ませました。重傷者は覚悟して飲んだ訳ではありません。沖縄返還前に製作されたこともあり、資料や証言が現在ほどは充実していなかったのだと思います。
個人的に最も注目していた一点に於いてとんでもない脚色が為されていて、本作は評価できません。それは「解散命令」に関してです。劇中、校長が学徒たちのことを思って軍から「解散を許してもらった」という描写が為されていますが事実は違います。陣地を維持できないと判断した軍が学徒たちを見放したのが「解散命令」です。ほぼ米軍に包囲されている状況で外科壕から放逐された訳で、それは「死ね」と言われたことと同義でした。沖縄県民にとって、災いをもたらしたのは米軍だけは無かったという意味で沖縄戦の悲劇を象徴する出来事ですが、ここは歪めて欲しくなかったです。
余談になりますが、沖縄守備隊の総司令が兵士に降伏を許さなかったこと。ひめゆり学徒に限らずですが、白旗を揚げて投降するような教育を受けていなかったこと。これらが「ひめゆり」の教訓であると思っています。現在、ひめゆりの塔に隣接する平和祈念資料館の展示がこの辺りの実情を分かりやすく見せてくれます。
私はこの作品の舞台となった沖縄本島南部に住んでいます。南国的な解放感に溢れる土地柄ですが、多くの命が散った戦場だった事とのギャップはなかなか整理できません。
アンドレ・タカシさん [CS・衛星(邦画)] 4点(2013-08-21 03:10:28)(良:1票)
その他情報
作品のレビュー数 17件
作品の平均点 6.06点
作品の点数分布
000.00%
100.00%
200.00%
315.88%
4211.76%
515.88%
6529.41%
7741.18%
815.88%
900.00%
1000.00%
作品の標準偏差 1.30
このレビューの偏差値 37.91
※この作品のどの当たりの点数に位置するかを表した値
あゝひめゆりの塔のレビュー一覧を見る


© 1997 JTNEWS