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カウリスマキの“敗者三部作”の掉尾を飾るわけですけど、作を重ねるたびに悲惨になってきた主人公も、ついにここまでの境遇になってしまったかと嘆息してしまいます。三作の主人公の中でも本作のコイスティネンが最も無表情というか無感情の様に思えます。時は21世紀に入りフィンランドもEUに加盟していて通貨もとうぜんユーロになっています。それなのに10年前の第一作当時から時が止まってしまっていたような社会の状況、銀行は相変わらずゲス対応だしノキアの国なのにスマホどころかガラケーすら誰も使っていない。コスティネンは家族も友人もいなけりゃ職場の同僚からも嫌われている。挙句の果てには女に騙され宝石店泥棒の片棒を担がされて刑務所行き。出所して女と黒幕ギャングを見つけて復讐しようとするが、哀れ返り討ち。こんだけひどい目にあってようやく自分を理解して救ってくれそうな女性が身近にいたことに気が付いて呟くのは、「ここじゃ、死なない」、なんか最後にようやく希望が湧いてくる一言でした。 描き方によってはいくらでもダウナーになるストーリーなんだけど、カウリスマキ・マジックにかかると不思議とほんわかした映画になるのは不思議です。
【S&S】さん [CS・衛星(字幕)] 6点(2023-08-12 23:09:33)
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