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《ネタバレ》 誰もが知るブランドであるグッチ創業家の、“事実は小説よりも奇なり”を地で行くようなゴタゴタ劇の映画化。グッチが世界的な企業であるにも関わらず同族経営でかつ株式非公開だったというのが一つのポイントだと思いますが、洋の東西を問わずファミリー・ビジネスには功だけでなく負の部分がつきまとうってことですね。現時点で我が国でも中古車販売と芸能ビジネスの同族企業が世間を騒がせていて、そう言う視点で観るとこの映画のテーマには感慨深いものがあります。 リドリー・スコットは20年前に映画化権を入手していたけどお約束のゴタゴタがあってようやく製作出来たそうですが、紆余曲折があった映画には苦労の割には報われないというジンクスからは逃れられなかった感がありますね。いや、錚々たる顔ぶれの俳優陣はみな熱演を見せてくれてますけど、オスカーにはなんと一つもノミネートされず、彼とは見抜けないぐらいの鬼メイクで怪演していたジャレッド・レトに至ってはラジー賞が授けられたぐらいですからねえ。特に稀代の悪女パトリツィアを演じたレディー・ガガはもう熱演を通り越して怪演に近いレベルです、その迫力には圧倒されました。アル・パチーノとジェレミー・アイアンズのグッチ兄弟としての顔合わせは貴重でしたが、どうも自分にはパチーノの演技の劣化が気になりました。あれじゃマイケル・コルレオーネがデブって歳取った風にしか見えないんですよ、この人こないだも歳にもよらず若い女に子供を授けたぐらいなんですからまだ(アッチの方は)元気、スクリーンでももう一花咲かせてください。笑っちゃったのは怪しい占い師役のサルマ・ハエック、この人グッチの親会社のCEOの妻なんだって、そりゃ出演できますよ(笑)。 夫殺しのパトリツィアはすでに刑期を終えて出所しているそうですが、製作中にパトリツィアは執拗にガガとの面談を希望したけど拒否られたそうです。現在もバリバリ活躍しているトム・フォードも含めて、こういう現存の人物を気にすることなく映画化しちゃうところが、腰抜けの邦画界ではマネができない海外映画界の強みなんだろうな。グッチ家自体はこの映画を非難しているらしいが、現在創業家とは縁が切れているグッチは映画撮影には非常に協力的だったとのこと。こういうところは『ファウンダー ハンバーガー帝国のヒミツ』とは真逆ですね。
【S&S】さん [CS・衛星(字幕)] 7点(2023-09-20 21:40:08)
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