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姿三四郎(1943) のクチコミ・感想
作品情報
タイトル名 姿三四郎(1943)
製作国
上映時間79分
ジャンルアクション,ドラマ,シリーズもの,モノクロ映画,スポーツもの,スポコンもの,青春もの,小説の映画化
レビュー情報
《ネタバレ》 黒澤明の監督デビュー作であるが、戦時中の製作で検閲で17分も勝手に切られるし戦後はGHQに“反民主主義的”とされて上映禁止にされるわ、色々と面倒に巻き込まれてしまった作品です。こんなに武士道的な価値観をメインにした映画がなんで検閲に引っかかるかと不思議だったが、戦時中のフィルム不足や電力節約で尺を80分以内に納めなければいけなかったらしいです。でも同じ藤田進が主演した44年の『加藤隼戦闘隊』や『雷撃隊出動』は前者は90分以上、後者に至っては110分も尺があります。これは陸海軍協力の戦意高揚映画だから特例扱いなのかもしれないが、官尊民卑もいいとこです。占領時代はチャンバラ映画や時代劇がすべて製作禁止されていたそうなので、GHQは武道ものだからという理由で深く考えずに禁止したんじゃないかな。 小中学校時代に柔道を嗜んだ小生としては、この映画の柔道や柔術は単なる格闘技にしか見えなかったですね。まあまだ柔術が加納治五郎によって柔道に整備される前の頃のお話しなので、〝一本!”や〝技あり”で勝負が決まるわけでもなく、下手したら相手が死ぬまで組み合っているのでこりゃブレイキング・ダウンよりおっかないですよ。藤田進の三四郎は体の動きが固すぎてちっとも強そうじゃないし、因縁の相手である月形龍之介=檜垣源之助もただ一人いつもマントまで羽織った洋装でとても強い柔術家には見えないんですよ。流派の雌雄を決する試合の相手も志村喬なんで、そりゃあ藤田進が勝つよなって感じです(笑)。でもストーリーテリング自体はさすが黒澤明って感じで、ラストの野原での決闘もその激しい雲の動きを巧みに織り込んだ撮影は見事です。 字幕で説明される欠落部は三四郎が特訓によって真の柔道を体得するシークエンスだったみたいで、これが観れないとなるとこの映画の正当な評価を下すのはちょっと難しいかも。でもいくら戦時中の映画とは言え、まるでサイレント時代の映画みたいな状態のフィルムは、何とかならなかったんでしょうかね?
S&Sさん [CS・衛星(邦画)] 6点(2025-02-22 23:24:21)《新規》
その他情報
作品のレビュー数 53件
作品の平均点 6.36点
作品の点数分布
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323.77%
4815.09%
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61324.53%
7713.21%
81222.64%
947.55%
1011.89%
作品の標準偏差 1.72
このレビューの偏差値 48.78
※この作品のどの当たりの点数に位置するかを表した値
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