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《ネタバレ》 史上初の正式なドラキュラ映画です。今まで私はクリストファー・リーが最高のドラキュラ役者だと思っていましたが、間違いでした。本作のベラ・ルゴシはリーを凌駕する威厳と存在感を示しており、とくにその眼力には不気味さの中に底知れぬ色気すら感じてしまうほどです。最晩年にあのエド・ウッドと関わってしまった為に色物怪優と言うイメージが憑いて回っていますが、どうしてどうして、彼は映画史に銘記されるべき名優だと思います。 原作にはかなり忠実なストーリー展開みたいですけど、後年のドラキュラ映画とはディティールで異なるところが多々見られました。ドラキュラの嫌うのはニンニクの臭いというのは定番ですけど、なぜか本作ではトリカブトに変わっています。ドラキュラが蝙蝠や狼に変身する(直接的なシーンはありませんけど)というのは原作通りですけど、この部分は意外と後年のドラキュラ映画ではスルーされることが多いんです。あくまでヴァン・ヘルシングがヒーローでジョナサン・ハーカーは愚かな引き立て役というストーリーテリングも、今となっては一般的でないかと思います。ドラキュラが吸血する場面は首筋に噛みつくところも含めて映されないのですが、やはり“ヴァンパイアが首筋に噛みつくのは性行為のメタファー”という分析の通り、30年代のハリウッド映画では刺激が強すぎてムリだったんじゃないでしょうか。最初の餌食であるレンフィールドだけはサイレント映画じみた大げさな演技で浮いている感じもしますが、狂気の演技としては意外と迫真だった気がします。 あっけないラストを含めて尺が短すぎるために大雑把すぎる感もありますけど、まさにゴシック・ホラーの古典中の古典、ルゴシ=ドラキュラの様式美をご堪能あれ。
【S&S】さん [CS・衛星(字幕)] 7点(2022-10-16 22:17:50)(良:1票)
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