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《ネタバレ》 予告見た印象では、一時期流行したセカイ系を踏襲しただけの作品かと思っていたが、曾祖母や親戚を巻き込んでの縦の繋がりや、一族の連帯感を投入してきたことは斬新だった。しかし、前半あれだけ人間同志の連帯感を意識的に描いた割には、クライマックスの戦闘シーンで、格ゲーや花札で「個VS個」の戦いに変貌するところなど不可解な点も。だが、所々で甲子園の実況中継を印象的に挿入してきたことで、「あーなるほど」と納得。この監督さん野球が本当に好きなんでしょうね。自分も大好きなスポーツなんだが、後半の戦闘シーンの描き方なんて野球の攻撃とまるっきり一緒。野球は一見、個VS個のスポーツに見えるのだけれど、チームの連携無しには成り立たない競技であり、そこに人間と人間の繋がり、つまり小さな運命共同体である社会が存在する。失敗する人がいたり、それを挽回する為に頑張る人がいたり、それらをお互いにカバー、連携しあってゲームを作り上げていく。そして勝敗が決まる。やはり、意図的にセカイ系とは一線を画す作品にしようと努力したのだろう。ところで肝心の内容なんですが、主人公が野球で言えばサード辺りをやっているようでイマイチ没頭できず。やはり映画の主人公は一番活躍して欲しいというのが正直な所。ピッチャーであり4番である必要もないが、せめてドでかいホームランくらいは打って欲しい。なんか活躍が、地味といいますか…。多分成長する前の段階を丁寧に描いてないからだと思う。それ故に、ナツキが侘助へ抱いていた憧れなのか初恋なのか分からない感情が、ラブマシーン(その感情のメタファー?)をぶっ倒すことで、主人公への恋に発展したという展開も、やや唐突で説得力が足りなかったように思う。他の選手の活躍は、各々泣き所があって良かったのだが。みんなが主役の物語ってのも悪くないが、自分は物足りませんでした。一番印象に残ったシーンは大屋敷の長い縁側で、各々が死の悲しみに浸っている箇所。人間と自然が一体となってる感じ、生と死が身近にある日本の田舎の原風景を描いているようで素晴らしかった。
【Nujabest】さん [映画館(邦画)] 6点(2009-08-21 22:08:36)(良:2票)
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