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ドニー・ダーコ のクチコミ・感想
作品情報
タイトル名 ドニー・ダーコ
製作国
上映時間113分
劇場公開日 2002-08-31
ジャンルドラマ,サスペンス,SF,ファンタジー,ミステリー,青春もの
レビュー情報
《ネタバレ》 暗い青春を過ごす者にとっては、暗い時代がどこまでも続いているように思える。学校という空間の閉鎖性ゆえに、ある者は引きこもりになり、ある者は自殺を試み、そしてある者は、精神を病む。だが、ある時何かに気づけば、一変して世界が輝いて見える。そう、外にも世界は広がっているのだ。
この映画は、「闇」を見れば、自己犠牲の悲しい物語。謎に支配され抜け出せない。しかし「光」を見れば、妄想から抜け出す、希望に満ちた物語。その二重構造は、まさに、青春映画の傑作にふさわしい。ここではこの映画の光の話について。

映画の冒頭、主人公は目覚める。現実世界と離れて妄想世界に逃げ込み、そこで目を覚ましたことの表明だ。つまり、妄想の世界の住人になった。この映画がすべて妄想の産物だとしたら、映画の中で、起こっていることは、こうなって欲しいと創造主が思っていることや、非科学的な現象ばかりでも良い。タイムトラベル(過去に戻りたい欲求)、母親に愛されたり、いじめっ子に屈しなかったり、片思いの相手が自分のことを好きだと言ってくれたり。願望やトラウマなど潜在意識がドラマ化したもので構成される。
この妄想の創造主は、その後、自分の精神的世界の中で、現実に戻る方法を見つける。つまり自我を取り戻すこと。恐怖セラピーのビデオの女は、鏡の中を覗けば、そこには自我が居たと言った。主人公が鏡を覗いたとき、そこにはウサギがいた。その名もフランク。
終盤で、主人公は、地下室の中に導かれる。地下室とは心の中のメタファー。そこで彼がやったこと。

フランクを殺すこと(過去の自分との決別)
そして、恐怖の克服(いじめられた恐怖に正面から戦いを挑むこと)、
愛の克服(愛を求める対象を適切に選べるようになること)

その後、彼は自己犠牲の死を遂げる。

妄想の世界では、自己犠牲の死というものが、まったく違う意味を持つ。
肉体の終わりではなくて、妄想の終わり、新しい世界の始まり。
なぜラスト3人が手を振っていたのか。母親、好きな子、少年時代(?)に別れを告げたと解釈することもできる。

この映画の光は、アイデンティティを獲得する物語。
孤独な妄想世界に別れを告げる壮絶な戦いの記録。
鬱屈した青春に捧げる魂の鎮魂歌。

妄想から目を覚ましたこの世界の創造主は、ベッドから起き上がり、新しい人生を始めているのではないだろうか。
Nujabestさん [DVD(字幕)] 10点(2010-10-16 15:43:32)
その他情報
作品のレビュー数 142件
作品の平均点 6.25点
作品の点数分布
010.70%
110.70%
242.82%
3107.04%
496.34%
52517.61%
62819.72%
72215.49%
82316.20%
996.34%
10107.04%
作品の標準偏差 2.09
このレビューの偏差値 58.56
※この作品のどの当たりの点数に位置するかを表した値
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