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《ネタバレ》 経済学者トマ・ピケティに関する記事を読んだなかで、貧困を売り物(見せ物)にしてしまうメディアのことや、それに触れて「かわいそうだね、大変だね…さて…」と、何か異世界の奇異なものを見物して自分とは何の関係もないものとして日常に戻っていくという、寒くて効果のないジャーナリズムのことが、とっても引っかかっていました。そんな記憶がまだ新鮮なうちに、この映画に出会いました。自分自身、この映画を観たあとに、この日本社会に何ができるのかというと、全く分かりません。政治もメディアも正常に機能しているとは思えないので、無力感いっぱいです。だからこそ、ピケティが言うような民主主義の段階的なモデルチェンジとかも、ちゃんと考えてみたりしようかなって、そういう気持ちにはなりました。映画の感想ですが、中盤に来て「結局ホスト物語かよ」「結局男女のナンチャラカンチャラ物語かよ」と期待外れ感が漂いはじめてきたところで、そこからも転落し、ストーリー運びという意味で映画に安心しました。主人公の正義感凄すぎるなと思います。僕はあそこまで正しくあろうという生き方はできそうもないです。本当にあそこまで誠実で自己犠牲も厭わない人がいるもんでしょうか? そこだけはリアリティが感じられなかったのですが、それでも、仮にそんな誠実な人が世の中にいても、その人さえ這い上がれない生き地獄はリアルに感じられました。映画で井上順を見るのは三谷幸喜の『ラヂオの時間』以来ですが、ラヂオの時間の順ちゃんも好きだけど、今回の作品の中の井上順はとってもとっても良かったです! 泣けました。茜とのエピソードも含め思いますが、人間ていうのは絆を求める生き物だけど、落とし穴は絆に飢えはじめている人を狙い待ちしてるんだろうね。
【だみお】さん [DVD(邦画)] 8点(2015-02-28 09:42:28)
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