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《ネタバレ》 「如何に極端な選択をして最期を迎えようと、それが本人が選んだ・望んだ道ならば幸せだろう。」そう思える結末の作品は過去に多くあり、自分はそういう思考に至りがちですが、この作品は全く違う。
この作品を観て、色々な感情が湧き上がって来ましたが、それらを打ち消し結果的に「猛烈に悲しい」「猛烈に可哀そう」という感情が最後に強く残りました。 それは、どんなに栄光を掴んだとしても、打ち込める道があったとしても、京劇と言う道を蝶衣自身が選んだ訳ではないから。それどころか母親に指まで切断され、捨てられる様に無理やり押し付けられた道。そんな道に閉じ込められ、もがき苦しんだだけの人生。 スターとなった時ですら、彼は一般的に男性が望む様な事をする訳ではなく、望むのは「小樓と永遠に共演する事」。作品中幸せそうな顔をしていたのも同様のシーンのみ。 京劇の中でしか生きられない彼は、ある種異常なんでしょう。小樓の方が当たり前の生き方なのかも知れない。でも、その異常さが純粋に思えてとても愛おしくなる。 文化大革命を経て、11年ぶりに共演を果たす2人。あんな悲惨な目に遭っても、彼の想いは全く変わる事は無かったんでしょう、小樓に台詞の間違いを指摘された時、幼い日からの想いが・感情が爆発した様に思いました。自害する直前、メイクで表情は多く読み取れませんでしたが、僅かに口元が微笑んでいる様に見えた。このシーンが堪らなかった。 決して美しい話などではない、ただただ蝶衣が猛烈に悲しく、猛烈に可哀そうでしかない。 【夜光華】さん [映画館(字幕)] 10点(2023-08-22 21:41:24)
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