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原爆投下直後の広島の町の描写もかなりのリアリティで怖いが、作品は「黒い雨」を浴びたことによる二次被爆を中心に描いている。核兵器は言わずもがな大量破壊兵器であるが、それと同時に静かに体を蝕む「見えない兵器」の面もある。直接被爆はしていない、ヒロインの抜け毛という形でそれが見えるものになる、この描写には背筋がゾッとした。昨今は若者が右傾化し、核兵器を持って強い国になろう!という意見も見かけたりするが、核兵器の使用というのが何をもたらすのか解って言っているのだろうか?爆発の直接被害のみならず、人の体の奥まで入り込み、静かに人間を破壊する放射能兵器というものの恐ろしさを。核兵器に肯定的な人には是非観て欲しい映画だ。また本作では被爆者差別も描かれている。はだしのゲンでも「ピカの毒がうつる」と避けられる被爆者差別の描写があったが、「ピカの毒」の得体が知れなかった以上、避けた人の気持ちも解る気がする。所謂「無知が生む差別」に対しては正しい知識を広めることが先決だが、当時は二次被爆などの害ばかりが形になって現れ、正しい知識など得ようが無かった。ここの問題も描けていると思う。
【あっかっか】さん [地上波(邦画)] 8点(2009-04-15 13:41:26)
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